未来の家庭学

未来の家庭学

 未来の家庭学代表 高栁信夫

現代社会における家庭教育の必要性

現代社会において、家庭教育はますます重要になっています。
その理由は、情報過多や価値観の多様化、少子化、非行問題など、子供を取り巻く環境が複雑化しているからです。
家庭では、知識だけでなく、コミュニケーション能力や問題解決能力など、社会で生きていく上で必要な「生きる力」を育むことが求められています。
特に、AIの発展により人間にしかできない能力が求められるようになり、創造性や人間関係を築く力が重要視されています。
家庭教育は、子供たちが将来、社会で活躍できる人材へと成長するための基盤となります。


私立小学校で 43 年間教員として勤務していました。その学び舎で多くの気づきがありました。
子どもたちは毎日を真剣に生きており、母親は命をかけて育児に邁進しています。 
父親も必死で家族を守る日々の暮らしがあり、その営みが課題に立ち向かう優しい人間力を培い成長させていきます。
家庭の在り方を一度立ち止まって考えるためにも志ある方々と「未来の家庭学」を立ち上げました。

不定期ですが、勉強会、フォーラムを開催しています。皆様の参加をお待ちしています。

プロフィール

東京女学館小学校 元副校長
社会福祉法人窓愛園 監事
教育実践研究会 会員
公益財団法人日本セーリング連盟
  パラセーリング委員会普及チーム
教育立国推進協議会 有識者

群馬県伊勢崎市生まれ
日本体育大学卒業
東京女学館小学校教員
明星大学小学校教員免許取得
グアム国際ヨットレース参加

  未来の家庭を綴る

①家庭・社会・教育の新しい在り方を探る

今存在しない職業が将来の労働市場の約65%を占めると予想されています。また、日常生活の半分以上が今後10年間で自動化され、リアルな人間の活動が減少していくでしょう。
この変化の中で、五感を使う機会も徐々に少なくなり、人間らしい体験や感覚に触れる時間が失われる恐れもあります。
こうした未来において、私たちには新たな挑戦と課題が待ち受けています。
そのため、変化に柔軟に対応できるとともに、伝統文化を理解し、そこに根ざした心を持ち、多様な人々と協力しながら未来を切り開く力を備えた人材の育成が求められています。

②教育の目的と育成する資質

未来の教育は、単に「生きる力」を超えた、新たな力を育むことを目指します。そのためには、次のような資質と能力が不可欠です。

資質の育成 → 人間性、修養、知識、技能の習得

能力の涵養 → 思考力、判断力、表現力

これを実現するためには、主体的で対話的、そして深い学びを促進する教育が必要です。
学びは「習得・活用・探究」というサイクルを通じて深化されるべきです。
新しい時代の変化する社会に対応できる力を養い、豊かで安心・安全な社会を築ける人材の育成に向けた学びが重要です。

③社会の在り方と家族の役割

超スマート社会や「100年人生」という新たな時代の中で、豊かな社会と暮らしの一部として、人間としての成長に欠かせない家庭や家族の在り方を見直すことが必要です。
温故知新の精神を大切にし、古き良き伝統を継承しつつ、新しい時代に合った環境を整えることが求められます。
また、グローバル化が進む中で、日本という国が持つ価値や文化を発信し、
国際社会における存在感を高めることも重要です。
それぞれの風土や環境に根ざした家庭と家族の在り方があることを認識し、家庭で育まれる人間性が世代を超えて継承され、新たな家庭が築かれる営みを支援することが、日本社会を豊かな方向に導く指針となります。

未来の家庭学は、こうした視点から家庭・社会・教育の在り方を研究し、
子どもたちが自立し、豊かで安心できる未来を築くための知恵を探求していきます。

主体的対話的深い学びのはじまり

①互いに認め合い、共に未来を築く

「主体的・対話的・深い学び」は、他者との出会いによって始まります。
家族という最も身近な関係において、妻として、夫として、それぞれが互いの存在を尊重し支え合うことで、強い絆が育まれます。
家族は単なる構成員の集まりではなく、人生において「生きる力」を支え合いながら暮らしていく場です。
互いを認め合い、協力して課題に取り組むことで、家庭がより温かく、力強い場所となります。

②育児における母と父の役割

母としての役割には、「かっかと照る太陽」の意味が込められています。
母親は家庭や家族に温かさをもたらし、その存在が家族を明るく包み込みます。母親は命をかけて子どもを産み、その尊い営みを支えるため、父親は家族を守り、母と子の成長を支える存在となります。
父と母は共に、愛情深く、主体的に子どもの健やかな成長に寄り添います。

「三つ子の魂百まで」という言葉があるように、幼い頃に培われる価値観や人間性は、生涯にわたってその人の根幹を形作ります。
賢く、思いやりにあふれ、誰からも愛される人として成長するよう、家族全員が協力してその礎を築きます

③家族が互いの存在価値を認め合う暮らし

家族は、それぞれがかけがえのない存在として認め合い、その価値を尊重する場所です。
一人ひとりの存在が大切にされる家庭こそ、子どもが安心して成長し、夫婦が共に歩む力を得ることができるのです。
こうした暮らしが築かれることで、家族全員が支え合い、未来を切り開く力を身につけていきます。

虐待・いじめ・不登校・引きこもりの状況が頻繁に叫ばれる現在を家庭から問直す。

    学校現場から 高柳信夫 小学校元副校長
    保育園から 河内ふみ 保育園園長
  虐待の現場から 岡田ユキ 虐待心理研究所所長
  不登校の現場から 小川涼太郎 株式会社スダチ代表

未来の家庭学副代表 河内ふみ

MCMフェロー
元新宿区職員・保育園勤務保育士
ライクキッズ株式会社・保育園園長

保育園の役割は時代とともに少しずつ変化してきました。
今では、子育てを支えるだけでなく、女性の就労支援や地域とのつながりを育む場として、また、核家族化によって途絶えがちな世代間の子育ての知恵を補う場として、大きな役割を果たしています。
保育園を利用することが当たり前の時代となり、子育てはもはや女性だけでなく、家庭や地域、家族という小さな社会の中で一緒に担っていくものとなっています。

近年、保育園の数は増え続けていますが、同時に保育園にまつわる事件や事故も増加しています。
さらに、大切に育てた子どもたちが、いじめや不登校、メンタルの不調に悩むという話も耳にすることが増えました。
子どもも大人も、理由のわからない不安や無気力、人間関係の悩みを抱えがちな時代です。
こうした現状の背景には、幼少期の親子関係や家族のあり方が影響していると感じています。「わかっているけど」と見過ごしがちな課題に目を向け、学び合い、支え合い、喜びを分かち合える家庭を皆で一緒に築いていきたいと思っています。

子育てはいつの時代も手間がかかり、思うように進まないものです。
楽ではありませんが、「楽しむ」ことはできるはずです。
せっかく家族になったからこそ、そしてせっかく子どもを授かったからこそ、互いによりよい方向に歩んでいきましょう。

プロフィール

宮城県出身
保育士資格取得後に上京
東京都新宿区の公立保育園に勤務
二人の子育てと仕事の両立に限界を感じ退職
その後、人と関わる仕事を求めて学童保育や高齢者介護に従事し、再び保育園に戻る
「ゆりかごから墓場まで」という視点で多くの家庭や家族に関わる
保育歴20年以上、現在は保育園園長として日々の保育に